ライター勉強会1
ふと気づくと「ライター」という名前を用いて、人と出会い、お話を記録するようになって3年が過ぎました。

大学2年生から始めたインタビュー活動は、時を重ねるごとにさまざまな出会いに恵まれ、今では多少のお金を頂き、地方からインターネットを通してみていた憧れの人々と、何かを生み出すことが出来るようになっています。

普段は三重大学に在学し、学業と並行しながら、各地に出向いてお話を記事化したり、リサーチから記事を作り上げたりしますが、その点において「地方在住」という状態はマイナスになることはなく、むしろ大きな武器になることが多いです。

参考事例の有無の問題 

ただ、都内在住の方と比較した際の大きな違いとして、ライターや編集者と出会う機会の有無が挙げられます。

インターネットを利用して遠隔でも仕事が出来るようになった今、やり取りを行うことが出来、仕事も成立しますが、実際にライター同士で、生の声を共有する機会は都市ならではのメリットと感じられます。

そんななか、この金曜日から日曜日の3日間、あるお仕事の機会を頂き、東京で行われたライター勉強会に出向くことが出来ました。

僕は少し遅れての参加となったため、全体の内容には不足があるかもしれませんが、参加してみたいと考えていた方や、振り返りを行いたい方にも活用頂ければとも思い、今回のメモをぽつぽつと記録していきたいと思います。

9月13日開催「月60万稼ぐフリーライターになるには」 

9月13日、東京・五反田のコワーキングスペース「CONTENTZ」において、ライターになりたい方、あるいはライターとしての活動の仕方に迷いを持つ方を対象に、トーク&交流イベント「月60万稼ぐフリーライターになるには? 先輩ライター・編集者に聞いてみよう!」が、行われました。

ゲストとして登壇されたのは、以下の3人の方々です。
やきそばさん
朽木さん
両角さん
勉強会の進行は、主に10個の質問をベースにして、構成されていました。僕が参加したのは、2つ目の質問からです。

Q2. ライターってどんな仕事なの?

両角さん:「イタコのようなものだと思います。取材のなかで、さまざまなトピックを引き出し、相手の立場を考慮して文章に反映させたり、表現の仕方に困っている複雑な内容を文脈から推測したりして、言語化していく。私自身が発信したいことはなく、取材をした相手が言いたいことを100%伝えることを心掛けていますね。」

朽木さん:「『ライター』はブロガーや作家、コラムニストなどを含めた包括概念だと捉えています。」

Q3.ライターになったきっかけは?

やきそばさん:「29歳まで放送作家をしていて、現在のようにブログが一般化される前に自分が好きだった高田純次さんの名言を集めたホームページを作成。同時に、テレビブロスが好きだったので、365日、毎日テレビに関する文章を書き続けていきました。

その結果、テレビブロスが、高田さんの特集を行う際にブログへこれまで関係性を持っていなかったブロスから依頼の連絡が来ました。」

朽木さん:「大学を留年していた際に、デイリーポータルZに投稿していたことがきっかけでした。」

両角さん:「25歳の時に一旦、ITの会社に新卒で入り、26歳でアメリカに渡り、東京で働きたいと日本に戻った。広告制作に関わるなかで、書くということに対する親和性が生まれていったように思います。」

Q4.ライターの始め方、仕事の取り方。

両角さん:「宣伝会議の講座へ出向いた。講座は夜に行われていたので、その後飲み会に行くことがあり、飲み会終了後、万年筆で講師の方々へお礼状を書き、その日のうちにポストに入れていた。東京23区なので、早ければ翌日には届き、メールではないので、埋もれない。そのなかでお仕事に繋がるものもありました。」

朽木さん:「学生時代、7年間群馬にいた。地方にいたため、編集やプロダクションについて知る機会もなく、インターネットしかなかったが、ライター募集の問い合わせを見て、『未体験でも大丈夫ですか』と飛び込んだのがきっかけ。」

やきそばさん:「知り合いからの紹介で、仕事依頼のメールを頂くことが多い。ブログのアピールも強かった。特徴が強く表れ、履歴書としても用いやすく、仕事に繋がりやすい。空気の読める目立ちたがり屋が強いとも感じますね。」

Q5.仕事のバリエーション

 朽木さん:「さまざまな編集者と関わりを持ち、多様な指摘を受けることは大きいと思います。校閲や校正のない『自由に書ける状態』は、楽しくない。スキルアップできる編集者との出会いは重要ですね。」

やきそばさん:「同じテレビ系の雑誌でも種類によって文体や雰囲気が異なる。特定の支持層がより対象を好きになれるような文体もあれば、ディスりはしないものの斜めの目線から書く文体もある。

ある雑誌では、音楽ライターとして、アーティストの記事を書いたときに2種類の原稿を用意しました。

1つは雑誌の文体に似せたもの、もう1つは普段書くアーティストの記事の文体と分けた結果、『そういったことをしてくれたライターは初めて。』と言っていただけた。違いを作り出すことは重要ですね。」

Q7.仕事場はどこ?

両角さん:「家から自転車で5分の位置にシェアオフィスができた。家で書くことも出来るが、夜中に寝てしまう恐れもあり、利用しています。」

朽木さん:「前職では編集長も務めていたのですが、会社での記事を書くときと、フリーで担当する記事を書くときは場所を分けました。両角さんと同様、夜は家でやっていると、寝てしまうのでカフェがいいですね。」

やきそばさん:「夜10時以降のマクドナルドは、おススメ。最近は資格の勉強や、パソコンを開いて仕事をされている方が多い。

作業拠点として同じく人気を集めているスターバックスは、中高生率が上がっており、集中することが難しく、自分が作業を行う際には、周囲の人々がどんな人で、何をしているかも重要になると感じている。刺激の有無は大きい。」

Q8.休みはある?

朽木さん:「10日間で20万円稼げるかどうか試してみたときがありますが、そのとき休みはありませんでした。仕事を断らずに全て引き受けてみたのですが、スポットの記事が多く依頼され、休む暇はなかったですね。ただ、為せば成るという感覚は得られました。」

両角さん:「脱稿前の繁忙期が終わると少し解放されますね。」

やきそばさん:「3時間ほど中途半端に時間が空いてしまうと、自分が必要とされていない感を感じる。仕事とプライベートの垣根はないが、楽しくてしょうがないんですよね。」

Q9:フリーライターのメリット、デメリット

やきそばさん:「フットワークの軽さはメリットですよね。流行を知るために、仕事の準備期間として表に出ていく必要がある。意外とライターでも、実際にお店に出向いて経験を得る人は少ない人ので、体験して意見を出せる人は強いと思います。」

朽木さん:「最近フリーになって、取材を連続して経験するなかで、実際に足を運ぶ重要性を再認識していますね。」

両角さん:「家族との時間が取れるようになりました。東京で行った取材を福岡で原稿にまとめることが出来るようになり、日常の生の時間を作れるようになった。

デメリットは、自分の健康維持が求められる。個人の力に集約される仕事なので、代えが効かないんですよね。」

やきそばさん:「リリー・フランキーさんが小説をヒットさせる前にラジオをしていて、その名言を集めていたんです。

そのなかに、『何でも仕事を引き受ける、出来るフリをする。』というものがあって、知っている人から学び、猛勉強することで、フィールドが増えていったそうです。

あと、フリーは、ライターとカメラの必要性が問われる。ある芸能人の記者会見で、デジコン、携帯のカメラで撮影する人がいたんですが、最低でもキャノンのD70以上が必要かと。見かけも大事ですね。」

Q10.60歳になったらどうする?

両角さん:ブックライターを続け、専属に指名されるようなブックライターになれたら。1人でも専属になれると、強いと聞きます。」

やきそばさん:「ある大物バンドの取材をさせていただいたとき、少ししか話を聞き出せなかったと落ち込んでいたのですが、後々、彼らが平常の取材よりもよく話していたことが分かりました。信頼の積み重ねも大きいと感じますね。」

朽木さん:「メディアを編集し、運営する立場へ。40、50歳で1000万円の年収を貰って働く人たちもいて、自分もそうなれる可能性があるなかで、どうしていきたいか。動けるうちは可能性を広げて、そこから絞っていきたいですね。」

〇質疑応答①:どういったライターが求められているのか。

朽木さん:「強みを持っておて、最低限の文章力を持ち合わせている方ですね。書く練習をされていない人や、応募してきた媒体を読んだことのない人もいらっしゃいます。」

やきそばさん:「特定のジャンルが好きな人はたくさんいるが、そのなかでも初心者の人でも読みたくなるような文章を書けるかどうかは重要だと思いますね。」

〇質疑応答②:頭1つ抜けたライターになるためには。

やきそばさん:「この人ってどんな人なんだと思わせること。Twitterでデパートの屋上の写真を良く上げる人がいて興味を持ったのですが、興味を持たれるためには良い意味で、「狂い」を見せることも重要かもしれません。

僕は動物園が好きなんですが、何かに詳しいと呼ばれるようになる。繋がって仕事を貰っていく。

とても好きなジャンルで書くとしたときに、私情を殺し、取材相手からどう引き出していけるかも大事だと思いますね。」

参加者の構成、場を振り返って

今回の参加者の割合としては70人中、ライター未経験者が46人、ライター経験者が24人。経験者の年数もバラバラで「ライター」を共通項に多様な人が集まっていました。

トークでは上記以外にも他にも師匠となる存在の有無、軸や善悪の判断をする際に立ち返るべき場所の有無などについても話され、ライターとしてどのようなキャリアを歩んでいきたいのか問いかける環境を整える必要性についても語られました。

書き手はもちろんながら、新たな書き手を探すメディアや編集者の方々も参加され、ライターという職業への興味、関心が、実際のニーズを聞くことで現実味を帯びていったようです。

1時間半予定のトークは、盛り上がりの結果、3時間に到ったんだそう。ライターとして仕事を依頼されている姿も見られ、参加者1人1人の新たな分岐点となる1日になったのではないでしょうか。

どのような働き方で、どのようなジャンルで、どれぐらい稼いでいきたいのか。「書く」というだけでなく、「ライター」を通して、どんな自分の姿を実現していきたいのか、全員で問いかける時間が共有されました。